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近藤夫妻の1999年9月山旅、

写真撮影の旅<緑求めて2>(紀子の写真の師匠、楓大介氏をロケ案内する旅 

中国山地 1999.9/11−12

 中国山地は、全国的には「大山」以外の名だたる山がないせいで、関東圈の山屋達には「西日本には山がない」と切り捨てられる事が多いのだけれど、何をか云わん、豊かな森の広がる魅力的な山域である。所謂雑木林が多いのだけれど、落葉樹の種類が豊富で、宿り木や蔓性の植物がお互いに共生、寄生しあって、おおらかな温かい世界を作っている。優しいお父さんのイメ−ジだ。
 紅葉が素晴らしく、色々な色彩に満ちあふれ、はら−はら−と降り注ぐ落葉、かさ−かさ−と落葉踏みわけ進む道、木の実どんぐりきのこすすき…、そして青空が広いのだ。標高低い山波続くせいか、とびきりの大空を独り占めできる気分になる。秋の空は澄んでいて、瀬戸内海日本海も望めるそうな。
 そんな山地を求めて、と言っても夏の終わりの緑美しくない時期なので、旅の趣向を凝らして、家族旅行で楽しむ。先生一家と近藤夫妻の旅である。
 中国山地を切り開いた中国自動車道を走り、広島の戸河内へ向かう。山の緑は目に優しい。これがまた、山笑う新緑の頃はどんなに美しかったか!見せてあげたい。 岡山県中は、杉の植林多く、黒々しい。谷間の山村は、倉敷の町並み思い出す白壁と黒瓦の家が多かったな。やがて広島に入ると、赤瓦の家になり、山波が低くなる。
 松の山が多いが、立ち枯れ姿が痛々しい。全国的な松枯れ現象は、決定的な原因や改善処方が確定されないまま、進んでいる。帰りに通る山陽自動車道はもっと深刻な状態である。ともかくも、日本の自然が病んでいると言うことは、誰の目にも明らかなのだ。せめては、関心を持ち、選挙の投票を怠らないようにしたい。

三段峡から匹見渓谷 

 そこで戸河内から、三段峡へはすぐ。全国を旅して回る私達には珍しく、何度も訪れる場所である。ここのトチ餅が絶品!だけど、まだ栃の実は採れないので、餅はなかった、残念。代りの焼き団子も、昼食のお蕎麦も、美味だったが…。
 三段は、原生林の中に全長16kmに及ぶ渓谷で、歩くことができる。途中、渡し船もあり、滝や淵美しく絶景で、当然シ−ズンは観光客賑わう所だ。今はオフなので人影少ない。光線良くない筈だが、その清流ぶりに、思わず楓先生も撮影を始める。娘三歳のリ−ちゃんは川に浸かって遊ぶ。私もだ。子供は絶対に自然の中で遊ぶべきだ!書道家の奥様、牧田悠先生の文鎮用の石を選んで、次の撮影地へ。
 深入山は草山であり、秋になるとすすき一面の山になるらしい。こんもりと緑の草原に包まれた優しい山容で青空に映える。
 匹見峡島根県に入る。奥匹見峡、表匹見峡、裏匹見峡とあって、奇岩巨岩の転がるこのV字谷沿いを、車で行く事ができるから、撮影に良いと思った。そして川遊びができる。山屋の私だが泳ぐのが大好きなのだ。ちっちゃすぎて危ないかもしれないけど、リ−ちゃんにも、楽しんでほしい。だいたい泳げる川なんて、日本にどれほど残っているのか!川で遊べる子供がどれほどいるっていうのか。
 奥匹見は歩く距離が長そうなのでパス。途中の素朴な村風景につられて、撮影。表匹見は周辺の林が奇麗だが誰もいない。白い岩、石の転がる川原でしばらく遊ぶ。水量が少ないのか川の中の石は藻がついて滑りやすい。裏匹見がキャンプ場になってて、一番遊びやすい。小さい狭い川だが、流れがあってきれい。冷たい水だけど、NZの氷河湖で泳いだ私にとってはぬるま湯のようなもの、一人泳ぐ。
 すっぽんぽんのリ−ちゃんは、冷水を嫌がってるだけで恐がってはいない。私にしがみついて楽しんでくれたようだ。この時のヌ−ド写真は、彼女の結婚式で披露すると、受ける事だろう。他の家族づれもやって来て泳ぎ出した。よしよし。
 匹見温泉が改装中のため、三坂峠を越えて潮原温泉へ。これが国道?という断崖絶壁の山道を擦り抜ける。それだけに、緑美しく、楓先生はこの道を一番気に入って下さった。けれど後座席の女三人は、疲れて眠りこけてしまった。
 温泉を楽しんだ後、
吉和から中国自動車道広島へ向かった。

めくるめくグルメの旅、広島

 広島は、夫が五年間赴任していた地であり、こんな自然豊かな文化的な都市である。休日人々は、山や海や川へ、スポ−ツやキャンプをゆったりと楽しむそうだ。関西に住む我々には、羨ましい豊かさである。我が夫は、二十数年間生まれ育ったのに、関西弁は話せず、広島弁を好んで使うのじゃのう。つられて私も使ってしまうのんよ。じゃろ、じゃろ?ん?
 さて、我らが広島を愛せずにいられない最大の点は、実は「食」にある。
 イタリアンレストラン「
マリオは、その料理、舌筆尽くし難い程美味しく、何より店の雰囲気が素晴らしい。従業員が自分達の仕事に誇りを持って、楽しそうに嬉しそうに、お客のメニュ−に応じたり、アドバイスしてくれる。気取ってなくて、品があり、シャレていて、店中が温かい。ミラノで長く活躍されていた奥様牧田先生にも、気に入ってもらえて、「日本で一番、魚の扱いはイタリアの店の中で比べても上手い方」と言ってもらえて、私も嬉しい。この店に来る為に、私達近藤夫妻は、広島近辺の山に通うのだ。
 他翌日も、アンデルセン」本店での豪華なビッフェ朝食、大衆食堂の王道のような麗ちゃんの広島お好み焼きの昼食と、大好きな店でのグルメ三昧の旅だった。
 朝、散歩のち、小さなフェリ−に乗って江田島へ。瀬戸内の輝く海に緑の島々浮かぶ風景は、白っぽく霞んだ天気に遮られて今一つ。リ−ちゃんと、乗り合わせた他の女の子と、三人で甲板を走り回って遊んだ。
 江田島、倉橋島と車は走り抜ける。大きな島で、町が近いせいか、期待した島らしさはなかった。白砂青松百選の景勝地、桂浜も、夏過ぎて、清掃してない季節柄か、打ち寄せるゴミと、クラゲで、海中に入る気がしない。波打ち際で遊ぶのみ。
 一カ所で落ち着いて遊べない旅で、リ−ちゃんには申し訳なかったが、そろそろ帰る時間となりました。呉から広島に戻り、山陽自動車に乗った。


<行程> 9/11 宝塚−中国自動車道→戸河内−191→三段峡→深入山−191波佐匹見線県道→表匹見峡→裏匹見峡−488→潮原温泉→吉和−中国自動車道→広島
9/12 平和公園散策、広島−フェリ−→江田島→倉橋島→桂浜→呉−広島呉道路31→広島−山陽自動車道→宝塚