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近藤夫妻の1999年7月山行記録

<空飛ぶ>北海道東の山旅 1999.7/7〜13

 飛行機の旅は、余りに早く着きすぎて、情緒が無くて嫌いだ。紳士の夫は私を必ず窓側へ座らせてくれるが、展望狂なので、見える山や地形を確認するため、私を眠らせてくれない。関空から瀬戸内海をぐるりと旋回、白山から立山連峰、日本海へ、庄内平野に入ってあの姿麗し鳥海山、岩手山と横断して太平洋へ、釧路平野の霧の中へ下降していくと阿寒湖屈斜路湖が見えて、もう着陸だからあっけない。どうか眠らせてくれよ〜!

羅臼岳1660m〜硫黄山1563m (道東) 1999.7/8−9

木下小屋から羅臼岳、三ツ峰野営  

 空港から網走湖原生花園のあるトウ沸湖を通り、初夏のオホ−ツクの海岸を走る。
 
木下小屋は、木造のきれいな小屋で裏に露天温泉(やっほ!)がある。羅臼岳は93年に登った時、択捉まで望めた快晴で感動大きな山だった。が、縦走は熊が恐くて出来なかった。今回は夫を連れているので安心だ?
 翌日のんびりと、針葉樹の北国らしい森を歩く。しばらくすると樹々の間から、海が見えるようになる。岩を積み上げた頂もそびえ立つ。
弥三吉水は冷たくて美味しく、水筒を満たした。林床や木々の花達が、我らを和ませてくれる。やがて森林限界を超えて、羅臼平直下の雪渓を直登する。一番喘ぐ所だが、可憐な高山植物のお花畑が現れ、眼下に広がる森の中の知床五湖や広い青いの眺めが良い。
 
羅臼平は一面ハイマツの原で、平坦な裸地には、デポした荷物が所々に置かれている。私達も大荷物を置いて一服後、サブザックで頂上を往復した。急な少し足場の悪い登りで、人が沢山下りてくる。小屋を一番遅く出発したお陰で、順番待ちだったらしい頂上は、ガラ空きだったが、期待の展望はいまいち。北のウトロ側は晴れているのに南、羅臼側は雲海の下で何も見えない。戻って、三ツ峰の三つの峰の間を登る。振り向くと、羅臼岳は堂々としてさすが知床連山の覇である。
 雪渓を下った所が今日の野営地で、そこに一人の青年が座っていた。青年は、先へ進むべきか留まるべきか悩んでいた。一人で泊まるのは(熊が)恐いし、先の野営地二ツ池までは長い。私達がここで泊まると聞いて、ようやく彼は安心して、嬉しそうにテントを張りだしたのだ。他の数組は先へ進んだようだ。
 野営地はこじんまりとした
船窪地形で、ナナカマドの白い花に囲まれる。越してきた三ツ峰が二つの峰に見え、結ぶカ−ブが首飾りの様だ。これが少し高台に上がると、その二峰の間から羅臼岳の頭が覗いて、三つ峰となるのが面白い。
 そして海が近い。最果ての、
オホ−ツクの海だ。その海に映る夕陽のきらめく炎柱、山草木人在る全てが輝き、大空いっぱい紅に染まる、落日の荘厳さは圧巻であった。
 熊対策は、テントの中で食事は作らず、食料は離れた所に設置してある食料庫に置く。めっちゃ頑丈に出来ているからそこから食料を盗っていくのは熊にも箕面の猿にも不可能だろう。
 ところで、この夕方も朝方も、羅臼の方でヘリコプタ−が飛び回っていた。後日聞いた話では、無事救助されたが、遭難事故だったらしい。

 

知床半島縦走からカムイワッカへ

 さて、サシルイ岳、オッカバケ岳を越す。今日は待望の、国後島爺爺岳が雲海の上に浮び、遠くやって来た甲斐を果せてくれた。ゆっくりしたいが、まだ先は長く、コ−スタイム通りに進めていない事に気づいた私は、以後気合いを入れて歩く。付かず離れず歩いてきた青年の姿が見えなくなって(一人残されるは恐かろう)、少し心配だ。
 
南岳から片側が大きなカルデラとなる。ハイマツの緑の原、所々残る白い雪田、剥き出しの火山の白いザレ等が入り混じる独特の景観が続く。貧弱なコマクサ咲く知円別岳からその切れ落ちたザレた稜線を伝って異様な岩塔群を越す。
 
硫黄山には分岐で、荷物を置いて取り付た。ザレの急斜面、上部は浮石だらけの不安定な岩場、踏み跡見つけにくい中強引にも慎重に登り切るとの登頂だ!ああやっと来た、遠く斜里岳、海別岳、遠音別岳、羅臼岳からここ迄の緑と白の稜線、オホ−ツクの海、これぞ最果ての知床岳を眼前に拝み、喜びと感慨に耽っていると青年もやってきた。
 お互いに写真を取り合って、一足先に下るが、これがまた大変で、落石させずに下れるものか!けれど上から見ると、消えかかった赤ペンキの跡がよく判って、無事下山できた。なのに見上げると、青年は違う所を無理に下ろうとして進退窮している様子。「大丈夫です」と答えるし、時間が迫るので我らは先に進むが、もう非常に心配だ。
  
硫黄川の、長く楽しい雪渓を駆け下り、尾根の肩に取り付く分岐の所で追いついた彼の、音が聞こえた時は本当に安心した。向うにしても私達の盛大な鈴の音が聞こえるまでの心中は察するに余りある。天気が悪いと迷い込みやすそうな地形であった。
 この後もぐんぐん下るが、あの超有名な秘湯
カムイワッカに遊ぶ時間がとれるかどうか…。以前私は行った事があるが、未知の地を愛す夫に、せめて見せてあげたい。走りだしたい気持ちはしかし、新噴火口の辺りの噴煙と地熱と照り返しの暑さでフラフラになる。
 そこを抜けると、樹林帯のよい道になり、林道に出てバス停へ走り着くと、20分位あったので、空荷で湯の滝を登る。手前の方の適当な温泉滝壷に、一瞬むりやり浸かる事ができた。しんどくはなかったけれど、この意外に長い縦走であった。

 その後、ウトロのキャンプ場まで一緒だった青年と三人で祝杯を挙げるべく酒場へ繰り出す。入った店は大当たりで、食べた魚の美味しかったこと!トロトロの北海シマエビやホタテ、ウニ、イクラ、トド肉刺身、卑しくも他の客の食べ残しまであさり、隣の客とも盛り上がったのだ。

<行程>7/7関空ー飛行機女満別ーバスウトロータクシ−岩尾別、木下小屋泊
7/8羅臼岳→三ツ峰野営地泊
7/9→サシルイ岳→オッカバケ岳→南岳→知円別岳→硫黄山→新噴火口→湯の滝バス停、カムイワッカ往復・バス ウトロキャンプ場泊

7/10
バス→斜里ータクシ-清岳荘・→旧道→斜里岳→新道→清岳荘泊
7/11清里ーJR摩周ーバス滝口ー雄阿寒岳→滝口ーバス阿寒湖畔キャンプ場泊 
7/12タクシ−雌阿寒温泉ー雌阿寒岳→阿寒富士→オンネト−→湯ノ滝→オンネト-ーバス阿寒湖畔キャンプ場泊
7/13バス摩周湖硫黄山屈斜路湖美幌峠美幌・JR網走、観光・食事、バス女満別空港・飛行機 関空