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クラシック入門のための初心者・若者向きコンサート?

クラシック音楽が、本当は非常に刺激的で挑戦的な音楽であるのに、何か「良い子の音楽」「素直に学校や制度、親のいうままになる従順な良い子の音楽」「文部省推薦健全音楽」という受け取り方をされていることが、例えばロック他のなかで音楽的にレベルの高いものを聴いているコアなファンと、ジャンルを越えた行き来が欠けてしまう一因という気がします。
 初心者向き「わかりやすい」「かみくだいた」お子様ランチ風名曲ポピュラーコンサートをしても、結局、クラシックが刺激的ジャンルとして、若い人やレベルの高いポピュラー音楽のファンを引き付けるのは難しいと思います。
 一方、時間の出来た中高年向きの「くつろげるコンサート」は、成熟した生活スタイルの提案であり社交の場となれば魅力的でクラシックを聴く人を増やすことにつながる可能性はあるかもしれません。ただし、くつろげるが退屈というのでは、すぐ飽きられてしまうでしょう。リラックスの為ならクラシック音楽以外にもいいものはたくさんあります。

 大人が考えた「健全な青少年のための音楽教室での音楽鑑賞」よりも、たとえばクロノス・カルテットのような同時代的感覚と挑戦とポピュラリティをもった音楽、オケの定期でもいっそ、20世紀〜同時代のレパートリーでの挑戦的なプログラムの方が、クラシックファン以外のコアな音楽ファンとの交流の可能性があるのではないでしょうか。
ポピュラー音楽、ロック、ジャズ、ラテン・・・どのジャンルにも、いわゆるそのジャンルの「くろうと好み」のものがあって、
それらに比べるならクラシックだけがとりたててかけ離れて音楽的に複雑で高度な特別な音楽=難しい音楽 とは言えないと思います。
 レベルを落として敷居を下げるというのは、ある場面では有効かもしれないけれども、他のジャンルで音楽的に積極的な人達と行き来をするということには、「わかりやすくしてあげる」ということ以外のことが大切な気がします。

2001年9月10日
近藤浩平

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