雄阿寒岳1355m(道東)1999.7/11
登山口に着いたのが11時。阿寒湖の端、太郎、次郎湖の際を通って、鬱蒼としたトドマツやエゾマツの針葉樹の森を行く。道々に冷気吐く天然の風穴フウケツがあり、足元が涼しくて気持ちよい。有名な富士山のそれのように、休火山の山にはそんな風穴ある。
下山してくる人が多い。百名山の阿寒岳は、雌阿寒が火山活動中で登山禁止となっている。「でも皆な登ってますよ」と聞いていたので私達は明日登るつもりだが、そのせいで、雄阿寒に集中しているようだ。
長い樹林帯をうねうね登り、五合目の標識辺りでハイマツ混じる低木帯に変わり、八合目でピ−クの一つに立つ。阿寒湖や阿寒富士、雌阿寒岳が見える。気持ちのよさそうに寝ているおっさんを横目に先を急ぐ。
旧火口の縁を縫って登り立つと、頂上だ。眼下のペンケト−、パンケト−の湖は青く、周りに何ら人工物の見えない美しい湖である。視界を遮るものはなく、湖とただ森だけが広がる風景は北海道でしか在りえない。無名な山らが森の間に立っているのだ。
八合目に戻ると、まだおっさんは寝ていた。登山口まで甘い予想以上に長く、最後は全速力で車道に飛び出す!沢山観光バスが走ってどれが定期バスか分からなくて、不安になる。が、無事阿寒湖畔行きバスに乗ることが出来た。
湖畔は温泉観光地で、キャンプ場も裏を引っ切りなしに通る車の音や、下品なカラス達で騒がしい。どんな田舎の宿に行ってもわが家ほど静かな所はない。
尚、キャンプ場にて、清岳荘でもらった缶詰で作った鹿鍋が美味しかった。温泉は公衆浴場が一つでさびしい。
<行程>7/11→清里ーJR→摩周ーバス→滝口ー歩→雄阿寒岳→滝口ーバス→阿寒湖畔キャンプ場泊
雌阿寒岳は登山口の標高が高いのでハイマツ帯に入るのが早い。大きくえぐられた沢状地形を越して急登していくと活火山らしい裸のザラ地に出る。途中で1グル−プを抜いた他は誰にも出会わず、頂上に立つことが出来た。
しかし、頂上火口壁内には、しゅうしゅうと音を立てて白煙を噴き出す口が幾つか在って、長居は無用と追い立てる。風向きがこちらに向けば危険なので、幸いであった。火口の底には沼があり、ガス霧と噴煙の切れ間から覗く。反対の尾根側にも火口跡が幾つかあり、不毛の白い原が広がっている。
縁を回った反対側の阿寒富士は黒い。富士の名が示す通りの端正な容姿で憧れていたが、展望は無く、ただ富士の砂走りの様な往復であった。
下る途中から、オンネト−の青い湖の全貌が見え初め、アカエゾマツの美林の森を歩く。
たどり着いた林道から、湯ノ滝を目指す。7年前に行ったときは、源湯池から湧き出す温泉があふれ流れて滝を作り、その滝横を登って入っていく、野趣溢れた露天風呂だった!のに、源湯池にマンガンが形成中という、何でも希少な現象が発見されて、不幸にも滝上の露天風呂は入浴禁止になっていた。仕方がないので、滝の下の新しく作られたような露天風呂に入って、我慢した。ぐすん。
<行程>7/12阿寒湖畔ータクシ−→雌阿寒温泉ー歩→雌阿寒岳→阿寒富士→オンネト−→湯ノ滝→オンネト-ーバス→阿寒湖畔キャンプ場泊
翌日は定期観光バスに乗り、霧の中、観光地巡りをする。面白かったのは、屈斜路湖畔の砂湯で、湖の下を掘れば温泉が湧く。時間があったので、湖に手扱きボ−トを浮べて遊ぶ私達であった。網走に出るとオホ−ツク海側は晴れていて、秀麗な斜里岳や、懐かしい知床連山の姿が拝めるではないか!天気が悪いのは内陸部だけだったのだ。そして、はたまた美味しいお刺身やイルカの内蔵等珍味をたらふく食べた夕方、飛行機に乗れば、我が家はもう目の前だった。
〈行程〉7/13阿寒湖畔ーバス→摩周湖→硫黄山→屈斜路湖→美幌峠→美幌・JR→網走、観光・食事、バス→女満別空港ー飛行機→関空