日本全国で唯一「子」(ね)の名をもつ山、子ノ泊山に登る
全国各地の週間天気予報を比べて、青春18切符が使用できて、少々雨でも大丈夫な所、と言うわけで選ばれたのがこの旅だ。新大阪発夜行新宮行きは、以前、熊野古道(大雲取山小雲取山越え)以来愛用している。深夜の疲れた帰宅客と、釣り人達の欲望を乗せ、南へ向かう旅情がある。
さてこの山は、日本全国で唯一「子」の名をもつ山で、子の年には登山詣での人でいっぱいになるらしい。事実、頂上には沢山の大きな看板が付けられ、「12年後にまた逢いましょう」と書かれてある。
林道からの最短コ−ス登山口からはすぐ登れるが、急登に継ぐ急登で、登り立つと海が近い。熊野浦のまっすぐな海岸線に続く尾鷲湾の入り組んだ海岸が対照的だ。熊野川を挟んで那智の烏帽子山や、先月の法師山、大塔山、果無山など雨雲に覆われつつあり何やら薄暗い。下山道は岩壁そそり立つ急な谷筋で、険しすぎるためか、植林少なく、南紀らしい明るい自然林が残されていて良いのだが、今日は暗い。雨も降ってきた。急な下り道で、大中小の岩が転がり、増水した沢を何度か渡渉する。さすがに立派な滝が多い。
お昼には無事下山できたのだが、所々の道に落ちていた赤い椿の花が印象的だった。熊野川を渡る橋まで長く歩く。温泉にも寄らず、宿に直行した。
紀伊長島から、紀伊半島一周
翌日も雨であったが、紀伊長島で下車する。かのウエストンが「移り気な日本人でも温泉好きは変わらない」と予言した通り今の私達も温泉は大好きだ。温まると食欲!
海が近いので、新鮮なネタの鮨といきたいが、紀州名産のお寿司は何故か、普通の握りがない。初めての時、「めはる」ってどんな魚かなと期待して待っていたら、本当に目を張ってしまった。秋刀魚寿司はおいしかったけどね。
うちの夫は、隠れ鉄ちゃんである。なかなか来る機会のない、この経路を通れて嬉しそうだ。私は地元の人が使う電車に乗ってのんびりと寝たり、本を読んだりしながら旅をするのが好きだ。関西弁から名古屋弁へ、また河内弁へと周りの話言葉のイントネ−ションが変わっていくのがおもしろい。そして家に帰るという(気持ちを含む)過程までが旅の楽しさなのだ。
<行程> 新大阪⇒JR→<車中泊>→新宮=タクシ-→登山口(7:00)…歩→子の泊山…→立間戸谷…→下和気…→(13:10)楊枝口⇒バス→新宮→JR熊野<旅館泊>⇒JR→→紀伊長島、古里温泉入浴など→多気⇒JR→亀山→加茂→ 木津→宝塚