大笹原の峰々
　縦走中はどこも、急峻な斜面をビロ−ドのような美しい笹が覆い、紅葉した小灌木が点在してアクセントをつける。風が笹原を撫でると、波のように従順に葉を反しては流れ、上等の布地のごとく光沢が輝くのだ。その感触を楽しむように、風は戯れそよぐ。秋空に映えて、富士山他、名立たる山々の大展望取り囲み、ああ何処を見ても好い。ずっと見飽きない。
　そして秀麗な笹斜面、何度も何度も何度も、シャッタ−を押してしまう。すれ違う人が｢こんなの、ずっと続いていますよ。｣と言うのだが、いつまでもカメラを離せないのだ。
　　　　　　　　　　１９９９年１０月１０日　谷川連峰にて