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リストとメンデルスゾーンの人気は長期低落気味なのだろうか

リストとメンデルスゾーンの人気は長期低落気味なのだろうか
19世紀の大作曲家のうち、リストとメンデルスゾーンは、ブラームス、シューマン、ショパンに比べ演奏頻度で大きく水をあけられつつあるように思われる。取り上げられるのもごく僅かな一握りの作品だけで、他は一般的に広く知られているとは言えない実態になりつつあるのではないだろうか。ワーグナー、ブルックナーに比べても、話題なることはかなり少ないように思われますが、どうしてでしょうか。
ブラームス・チクルスや、シューベルトの交響曲全曲演奏といった企画は見かけますが、リストの交響詩や交響曲を集中的に取り上げる演奏会だとか、メンデルスゾーンの作品のみによるリサイタルなど、そうそうあるとは思えない。

レパートリーからの欠落しているリスト、メンデルスゾーンの大多数の作品
メンデルスゾーンの作品に接する機会のうち、ヴァイオリン協奏曲ホ短調や交響曲3、4番以外、たとえばピアノ協奏曲1,2番や交響曲1番、2番、「エリア」等のオラトリオ、宗教曲、室内楽、声楽曲、ピアノ曲、オルガン曲など、演奏頻度は低い。
リストもごく一部のピアノ作品以外、日常レパートリーの中に確たる位置を占めているとは言い難いのではないだろうか。とくに、オーケストラの年間演奏会曲目を眺めていて、リストの作品が滅多に取り上げられなくなっている。
ブラームスやシューマンの無い年間曲目スケジュールは考え難いが、リストはリストからはずれていても、気にかける人はあまりないのか・・・ピアノ協奏曲が時折、プログラムに載りはするのだが、「ファウスト交響曲」や交響詩の多く、宗教曲・・・大部分の作品は滅多に演奏会にのらない。

人気低迷の現状
時代の趣味や、表現のありかたが現代人に訴求しにくいのか、作品への評価が低落気味なのか・・・
リストとメンデルスゾーンは人気が長期低落気味なのだろうか。
「音楽の友」の2001年4月号にアンケートによる作曲家人気ランキングが出ているが、リストとメンデルスゾーンはランキングにあがっておらず、ランキング結果へのコメントもそれをとくに不思議なことと受けとめている様子はない。

リストの重要性
リストについて非常に高く評価していたのはバルトーク。晩年の「調性のないパガテル」など20世紀の音楽の予兆のような音楽。「巡礼の年」などはドビュッシーの音楽を予言するようなところも。
また、リストのピアノ音楽はロシアでは非常に好まれ、(ロシアでは何故かブラームスが不人気らしい)そのせいかプロコフィエフなどロシアのピアノ音楽はリストの影響が色濃い。
19世紀後半の民族主義的な動きのなかで、作曲のスタイルとしてリストの「ハンガリー風」音楽が重要なモデルであったことも見逃すわけにいかない。
交響詩は、リヒャルト・シュトラウスへと受け継がれ、山田耕筰の音詩などにまでつながる。
複雑なオルガン作品などは、ほとんどマックス・レーガーの世界に、半世紀先行するもの。
膨大な宗教音楽は、私自身はまだ聴く機会がほとんどないのですが、20世紀の宗教音楽の作曲家、たとえばフーゴ・デュストラーや、ヨハン・ネポムク・ダヴィドなどへの関わりとして、いままで少なくとも日本ではほとんど関心をもたれてこなかった流れがありそうだ。

メンデルゾーンの影響力
メンデルスゾーンは、バロック音楽、とくにバッハの復興を通して、20世紀の新古典主義あるいはバロック音楽復興など様々な傾向の出発点になっている。
例えば、メンデルスゾーンからラインベルガー、レーガーへ。メンデルスゾーンからラフ、リヒャルト・シュトラウス。メンデルスゾーン、ラフを経てマクダウェルなどアメリカのロマン派音楽。メンデルスゾーンからガーデ、グリーグなど北欧の音楽。メンデルスゾーンからブルッフを経てさらにスタンフォード、エルガーをはじめとするイギリスの作曲家達。
バロック音楽の復興は、ヒンデミット、ストラヴィンスキー、ホルスト、ファリャ、バルトーク、シェーンベルク、オネゲル、ショスタコーヴィチなど20世紀の音楽様式に決定的影響を与えている。

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