作曲のうえで私がとくに考慮していることは以下のようなことです。
1.リズムの豊かさ。アクセントが自由に移動できるような柔軟なリズム。1本の旋律線にもポリリズム的要素を考慮。
2.作品ごとに複数の「支配的な音楽的要素」を設定すること。
「支配的な音楽的要素」は、調性音楽における主音や重要な和音のような役割をもつことができる。
「支配的音楽的要素」のバランスを変化させていくことで、転調のような音楽的シチュエーションの変化や、終止感などをつくりだすことができる。
「支配的音楽的要素」は、特徴的和音進行でも、リズムパターンでも、音色でも、「複雑さの段階」のような音楽的シチュエーションでもかまわない。
3.自分の和声法、リズム作法をもつこと。
一聴してそれとわかる作曲家は、特定の和音進行や特定のリズムへの好みなどをもっている。
マンネリを恐れるばかりに、作品ごとに意識的に変えてしまう作曲家もいるが、同工異曲の量産を恐れずに自分の様式を成熟させれば良い。同工異曲のうち、成熟した作品が残ればそれでいいと思います。
1999年11月11日記
近藤浩平