ピアニストには右と左にそれぞれ5本ずつの指がある。このため、通常ピアノ音楽は、指で押さえることが技術的に可能な 音の配列になっている。例えば、15度づつはなれた4つの鍵盤を同時に叩くことはできない。 速度等もピアニストの肉体的、技術的限界に制約されるが、この限界の個人差は大きい。
ペダルによって、実際に鳴る音は楽譜に書かれている以上の持続、余韻をもっていることもあり、前後の音と重なって一つ のグループとして複数の音が把握されることが多い。分散和音が典型例。
ピアノの各音は楽器の中でお互いに共鳴しあう。ある一つの鍵盤が鳴らす音は、他にどんな音が同時に鳴っているかによ って変化する。
大多数のピアニストは特定のピアノ演奏技術のスタイルの教育を受けている。例えば、クラシックのピアニスト
にとってジャズやラグタイムが弾き難かったり、ジャズのピアニストがクラシックを弾き難いのはこのため。
ピアニズムはこの条
件を前提に発達したけれども、それに不満なナンカロウみたいな作曲家もいたのですね。
1999年9月22日記
近藤浩平