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「ホルスト(Gustav Holst)における脱西欧近代」(論文)

近藤浩平

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第6章 共通する構造

『エグドン・ヒース』『惑星』に共通した構造について、ここで表4表5にまとめてみることにする。
 全体は「宇宙」あるいは「自然」という絶対的存在を象徴する要素、「人間」を示す要素、両者を仲介し最終的融合・合一・一致へと導く「呪文」「ダンス」から成り立っている。表5にも示した通り、「宇宙」「自然」を象徴する部分は、反復されるパターン非機能和声的和音反復無調的あるいは特殊な旋法の素材によって形成される音響であり、「人間」を示す全音階的旋律と著しい対照をなしている。音楽は表4に示す通り、2つの要素の対立・対峙から調和、平和を示す部分へ進み、「呪文あるいは喚起とも言うべきもの」が出現して「ダンス」を呼び起こし、対立要素の融合、あるいは「宇宙」「自然」と「人間」との合一へと達する。(注86)
 この過程のどの部分が、具体的に音楽のどの部分であるのか、各要素はどのような特質をもった音なのか、融合はどのような方法で達せられるのかといった細部については、表4表5と全曲とを併せて見ていただきたい。
 さて、以上、対象を『エグドン・ヒース『惑星』という2つの作品に限って述べてきたが、ホルスト他の作品に共通性が見出せるのだろうか。

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